ドラマと紅茶

ご覧頂きありがとうございます!映画と海外ドラマの簡単な感想と日々の出来事について少し 流行りには疎いです

映画「予告犯」感想 そんな理由?、されど理由!

 2015年に公開された生田斗真さん主演の映画。

原作は私は読んでいませんがヤングジャンプに掲載されていたみたいです。

映画の1年後を描いたオリジナルストーリーで映画公開の翌年にWOWOWドラマを

東山紀之さん主演で放送されたそうですが私はドラマは未見です。

 

ドラマ以外で邦画の感想を書くのは2回目かな。

生田斗真さんの私のイメージは子役の頃は小さいオッサンみたいな感じだったのが

成長と共に演技もルックスも良くなって特別ファンでもないんだけど映画やドラマを

観るととてもカッコよく見えます。映画「脳男」もよかったです。

 

他にも戸田恵梨香さん(個人的に顔も演技も好きな俳優さんですが、最近痩せすぎて

いるように見えるのでもう少しふっくらされたらいいのにと思いますが大きなお世話

でしょうね。私も若い頃は今とは真逆で食べても太らなかったのでどうしたら

太るのか知りたかったあの頃の体に戻りたい。。。)、鈴木亮平さん、荒川良々さん、

濱田岳さん等演技派な豪華キャストでした。

 

 因みに私は何の予備知識もなく鑑賞したので予想外に楽しめましたが、現在では

DVDをレンタルするしか視聴する方法はないらしいです。詳しいは日程は不明ですが

今月でしたらまだシネマチャンネルで放送日があります。(ジャニーズ出演作品は

著作権の問題によりネット上で配信することが出来ないそうです。)

 

それではネタバレあり感想いきますので「まだ観てない!これから観る!」と

言う方はここでこのページを閉じてくださいませ。

映画 「予告犯」 (通常版) [DVD]

映画 「予告犯」 (通常版) [DVD]

  • 発売日: 2015/12/04
  • メディア: DVD
 

 簡単なあらすじです。

ある日、Tシャツ姿で新聞紙で覆面をし「明日の予告を教えてやるーー」と言う奇妙な

動画が投稿される。すると予告通り、大量の食中毒を起こした食品加工会社が放火

された。この事件を受けて警視庁のサイバー犯罪対策課の女性刑事(戸田恵梨香)が

担当になり警察の捜査が始まる…というお話。

以下思いっきりネタバレしていますのでご注意を!

 

捜査をを進めるうちに犯人は複数犯だということが分かる。この犯人達は自らを

「シンブンシ」と呼び、その犯行も法では裁かれない社会悪を自ら裁いていく。

この辺りは昨今問題になっているSNSでのモラルのかけた投稿で炎上したアルバイトの

学生だったり、政治家だったりするので観ている方も「法で裁けないんだから誰か

制裁加えてよ、いいぞ、やれ!」と思ってしまったりするんだけど、このコロナ禍に

おいては最近ではマスク警察だとか自粛警察だとかちょっと迷惑というか、やっている

方はよかれと思っているんだろうし日本では法律では強制は出来ないのでみんなが協力

しようという風潮の中においてもやはり「協力しない」という人は一定数出てくるので

何とも言い難いところでもあって、常識的にはよろしくはないとは分かっていても

取り締まれない現状においては賛同してしまいそうな問題でもあるので時代に沿った

事件ではあるなと思いました。

 

そしてこの「シンブンシ」軍団が何故そんなことを始めたのかもしっかり描かれていて

一人ひとりドラマがあります。生田斗真演じるリーダーのゲイツはIT会社に派遣社員

SEとして勤めていて正社員になろうと頑張っているが社長に散々嫌味を言われ不当な

扱いを受けた上に解雇されてしまいます。嫌な社長を演じている滝藤賢一さん、いい

味出てました。そして日雇いの肉体労働で知り合った同僚の鈴木亮平演じるカンサイ、

濱田岳演じるノビタ、荒川良々演じるメタボ、今まで会ったことのない日本人の父親

に会いにフィリピンからやってきたハーフのヒョロ(福山康平君という日本人の俳優

さんが演じていました)のメンバー全員が社会から不当で理不尽な扱いを受け人生に

挫折を感じているのだが、誰一人としてサイコパスな人物はいないどころかむしろ

同情してしまうような優しさや思いやりがあって、一度は誰もが経験していそうな

不遇な目に遭ってきたメンバー達なのでいわゆる社会不適合者というよりは頑張って

も報われないといった印象を受けた私は、どちらかというと自分の経験からしても

犯人側に同情してしまいがちになる。

 

日雇いの労働中にヒョロが体調を壊す。フィリピンで貧しい生活をしていたヒョロは

父親に会うための日本への渡航費を稼ぐ為に腎臓を売っていたため激しい労働で命を

落としてしまう。そこでリーダーのゲイツは「ヒョロの父親を探すこと」を主とした

目的でこれらの犯行を起こすことにしたのだった。そして至るところにヒョロの本名

を書いたりと彼と彼の父親に繋がるような痕跡を残していた。

全てはヒョロの願いを叶えるために、ヒョロの遺骨を父親に渡すために。

そして最後は残ったメンバーが自白の動画をライブ投稿して青酸カリで自殺を図る

のだが、それも実はゲイツが他のメンバーの毒を睡眠薬とすり替え自分だけが罪を

背負って自殺し、その動画を見た戸田恵梨香刑事は急いで現場に駆け付けるのだが

ゲイツを助けることに間に合わなかった。しかしそこに残されていたスマホの動画を

見てヒョロの遺骨を探し父親の元に届けたのであった。

 

これを知った時に今までの自警団的な犯行の理由は「これだけ??これが理由?」と

思ったと同時に社会に対する怒りだけでなかったことに驚愕した。こんな理不尽な

社会で不当な扱いを受けたにも拘らず、人としては腐らず思いやりがあり過ぎる

ゲイツ。そして亡くなったヒョロにかけたゲイツの最後の言葉

「お前が腎臓を売ってまで来たかった国がこんなザマでごめんな」

グサッと刺さった。確かに途上国のフィリピンよりは日本の方が住みよい国ではある

かもしれない。世界的にもとても恵まれた国だとは思う。だが他国のような格差社会

ではなくても、目立った人種差別もなくても、2021年になった今もいじめ、特にネット

スマホが普及するとSNSという本来便利で楽しんだり情報を共有するためのツール

までもがいじめを増長させ、官邸官僚の公私混同、政治家の忖度や贈収賄疑惑等々の

政治も腐敗している日本。それに加え様々な社会問題の犠牲になってきた彼だから

言えた言葉なのかもしれない。

だが、だからと言って殺人も犯していた彼らの犯行が正しかったとは決して

言えない。いじめを受けていた側だった戸田恵梨香の台詞にもあった「それでも乗り

越えてきた」人達も確かにいるからだ。なので最後の自殺実況動画に駆け付けるのが

遅かった彼女は「何かっこつけてんのよ?言いたいことがあれば助けを求めればいい

じゃない!」と涙ながらにゲイツの遺体を抱きしめる。この言葉も不遇を経験した彼女

だからこそ言えたのだと思う。

不自由も苦労もなく育ったエリート街道一直線の人間がこの言葉を放っても何の

説得力も持たないだろう。こういった台詞からも犯人達に同情しがちになるが

そうではない、そこではない、と私は思うのだけど。

 

劇中で窪田正孝さん演じるネットカフェの店員がゲイツに加担するのだが、事情聴取で

「人は誰かのためになると思えば動くんです」と言う台詞があるのだが、その言葉が

いかにも日本人ぽくも感じた。いわゆる自己犠牲。そうして先人たちの自己犠牲の

上に成り立っている現代の日本がある。綺麗事ばかりでは生きられないけれど、少し

でも真面目に頑張ってる人が報われる社会になって欲しいと思った映画でした。

 

ただ一点、最後にヒョロの遺骨が彼の父親に無事に渡るのだけど、その父親も不景気で

工場が潰れ貧相な成りをしていて息子の亡骸を前にしても何も感じていなさそうで

命を落としてまで会いたかった父親の印象が薄すぎてそこがやりきれなかったです。

 

生田斗真カッコいい♡と言いたいだけだったのにこんな長文になってしましました。

最後まで目を通してくださった方ありがとうございます。

 


www.youtube.com

 

 それではまた~(^^)/