ドラマと紅茶

ご覧頂きありがとうございます!映画と海外ドラマの簡単な感想と日々の出来事について少し 流行りには疎いです

映画「ハウス・ジャック・ビルト」感想 苦手以前にがっかりした。それだけ。

 2018年に公開されたラース・フォン・トリアー監督、主演はマット・ディロン

の映画です。

トリアー監督と言えば、私の苦手な「ダンサー・イン・ザ・ダーク」の監督。

とりあえず、この監督の「鬱三部作」と言われている3作品は全部鑑賞してます。

 

この作品、描写が過激ということでアメリカでは修正版のみ上映されたそうですが、

日本では無修正版で上映されたそうです。

友人からも無修正版で観るように言われていましたが、多分無修正版でした。 

ネタバレありです!早速感想書きます!

 

ハウス・ジャック・ビルト(R18+版)(字幕版)

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簡単なあらすじは、舞台は1970~1980年のワシントン州。建築家を夢見る技師の

独身男性ジャックはあることきっかけに殺人鬼と化します。それを5つの出来事に

分けて映画で語られます。強迫性障害を患いながらも殺人を芸術だと正当化しつつ

続けたその先には…というお話。

もう少し細かいあらすじを追いながら感想を述べていきます。

 

長かったーーーー!この監督の映画は長い作品が多いですが、長かったー!

そして思ったより面白くもないし、そこまで過激だとも思わなかったので

肩透かしを食らったような気がしました。勝手に期待値上げてたのかも。

 

第一の出来事ではユマ・サーマン演じる女性(エンドロール見るまでユマ・サーマン

だと気付かなかったよ)が観てるこっちが「もう殺してしまえ!」と思ってしまう程

ウザい女性だったので、ジャックがジャッキで殴り殺した時はすっきりさえした。

それがシリアルキラーになるトリガーだったんだけど。

 

第二の出来事ではジャックはもうただ単に殺人のためだけにとある女性の家を訪れる

んだけど、ジャックは最初は警官だと名乗り家に入ろうと試みるのだが、女性は

「バッジを見せろ。見せないと信用しないから入れない」と言うので「実は自分は

保険の調査員で遺族年金を2倍に出来ますよ」と言うとすんなり家に入れる女性。

あんなにジャックに不信感抱いて頑なに家に入れようとしなかったのに年金2倍で

すんなり入れる感覚が分からない。そっちの方が眉唾ものの嘘って分かりそうなのに。

アメリカ人て年金2倍って言葉に弱いの?人を家に招き入れる魔法の言葉なの?

ここでもうこれってコント?と思い始めた。

そしてこの女性も絞殺されて(一旦生き返るから胸を刺した)遺体をジャックの車に

運ぶんだけど、早くその場から立ち去ればいいのに、強迫性障害が邪魔して額縁の裏や

椅子の脚の真下に血がついてないか気になって仕方なくて何回も家の中を確認しに

出たり入ったりを繰り返すところも笑えないコントになってた。額縁の裏に血がつく

わけないじゃん。そのうち近所で強盗があったとかで警官がくるんだけど、車にあった

遺体をとっさに隠し、その場を切り抜けて最終的に遺体を紐で車と繋げて引きずって

遺体の隠し場所である冷凍庫に辿りついて車を降りると案の定血の道筋がくっきり。

すると豪雨が降り始めて綺麗にしてくれちゃうなんてなんなのこのコント。

 

第三の出来事はさすがにこの辺りからはコントとは言えないと思った。ここら辺から

アメリカでは規制がかかったんだろうなと思う。子供二人とそのシングルマザーと

ピクニックして狩りをするんだけど、狩りと称して子供から撃って、死んだ子供を木

で括って母親に子供に弁当を食べさせろって、、、もう何がしたいのか分からない。

母親に「好きな数字は?」と聞いたら答えた数字が彼女を殺すまでのカウントダウンの

数字だった。子供は剥製にしちゃうし。不謹慎で大変申し訳ないですが、剥製にされた

シーンは「Oh !マイキー」を思い出してしまった。

 

第四の出来事は若い女の子の乳房を生きたまま切り取るシーンは観てて自分の胸も

痛くなってきた。おまけにその乳房が勿体ないとか言ってお財布にしてるし。

 

第五の出来事はエピローグに繋がるのですが、ナチスでも実際にやっていた実験で

フルメタルジャケット弾一発で何人まで殺せるかをやろうとするんだけど、殺人を

重ねていく内に強迫性障害も軽くなっていったらしく、警察が駆けつけてきていて

その実験を遂行する前に現実的には警官の発砲で死んで(実際に死んだ描写はないので

私はそう解釈しました)、現実では死んでいるんだけどジャックの意識では遺体で

家を作って中に入り、映画の冒頭から話し手だったヴァージが現れるんだけど、彼が

地獄への案内人だったんですね。なので地獄へ案内されるという時点でジャックは

死んでいるという解釈で間違っていないのではないかと思いますが、最後に地獄の

底に落ちるジャック。そして「ジャック、二度と戻ってくるな」という歌が流れて

エンドロール。この歌が中々インパクトあった。

 

トリアー監督にしては珍しい終わり方のような気がしました。ジャックが行う殺人を

劇中のジャックの言葉では「アート」で、「アート」なら倫理を無視していいのか

と思うと最後は地獄に落ちるという至って倫理的な裁きを受けていて、そこは私も

地獄に落ちないエンディングを望んでいたのだけれど、あえてそうしたということは

映画もアートなので「アート」という観点からすると倫理がどうのこうのっていちいち

言ってたら面白いものも何も作れねーよ!って芸術に対するアンチテーゼ的なことを

監督が表現していたのかな?とも思いましたけど、ぶっちゃけつまらなかった。

 

それと、この映画を観終わって真っ先に思ったのが、このジャックってアメリカの

有名な30人以上の女性を殺し、「シリアルキラー」という言葉の語源になった犯罪者

のテッド・バンディのお話かと思った。テッド・バンディを通して殺人を芸術として

描いた映画にしたのかと思った。ピクニックで狩りと称して親子を殺害する話は少し

違うけど似たような話がドラマ「クリミナルマインド」にもあったので、むしろそっち

の方が怖かったし、乳房をお財布にするのは昔ナチスでも人の皮を使ってブックカバー

とか色々作っていたとは聞いていたし、「羊たちの沈黙」の犯人も被害者女性の皮で

洋服を作っていたのと酷似していたし、遺体で家を作るのもドラマの「ハンニバル

でも似たようなシーンはあったし、エピローグの地獄の話もダンテの「新曲」の時獄篇

もたくさんの映画でも扱ったり出てきたりしいるので目新しさもなくただがっかりした

映画でした。(トリアー監督は無神論者みたいですが)

先日書いた「ファニー・ゲーム」の方がグロ描写がないのに感情に来るものが断然に

ありましたよ。

ウェイワード・パインズの時よりマット・ディロンさんのフランケンシュタイン度が

薄くなっていたように思いました。

 

「鬱三部作」を観た時も「確かにイカれてる話ではあるけれど、だから何?」としか

思わなかったので、私、この監督とは合わないのかも。。。 

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 それではまた~(^^)/