映画「戦慄の絆」感想 観てると体が痛くなる
1988年にアメリカで、1989年に日本で公開された
デヴィッド・クローネンバーグ監督の映画「戦慄の絆」の感想です。
基本的に、特に結末のネタバレなしで書いて行こうと思います。
一応サイコスリラーなので。
かなり前(15年以上前とか)に観て、とにかくストーリーよりも映像が記憶に
残った映画で感想はタイトルの通りです。そういう映画ではないと思うんですけどね。
まずはざっくりあらすじを。
不妊治療の産婦人科を開業している一卵性双生児のエリオットとビヴァリー。
彼らは一心同体で育ちますが、兄のエリオットは社交的で野心家、一方弟の
ビヴァリーは内気で努力家と性格は正反対ながらも共に暮らし全てを共有していた。
そんなある日クレアという女優の女性がビヴァリーの元に診察で訪れてきた。
珍しい症例だったため、兄に相談すると兄はクレアに彼女の体のことを告げ、クレアと
関係をもったのだが、それを知らない弟のビヴァリーは翌日クレアを訪ねたが、双子
だと知らないクレアはビヴァリーとも関係を持ってしまい、このことがきっかで
やがてこの兄弟二人の均衡が崩れていく…というストーリーです。
私の感想は映像が不気味、かつタイトルで述べたように見ているだけで体が痛くなって
くる、です。婦人科のお話なのですが、先ず、手術着からして血をイメージさせる赤、
並べてある器具も一見芸術的にも見えますが、女性からしたらあんなものを体に
入れられたら痛いしかない、と思える彼らのオーダーメイドの器具がずらりと並ぶ
シーンはこんな婦人科には絶対かかりたくないと思います。男性だと想像が出来難い
かもしれないので、かなり違うとも思いますが、強いて言うなら大腸の検査の時に
使われる時を想像してみてもいいかも?しれないです。
一卵性双生児の双子ですが、彼らは1+1=2でなく、1+1=1なんだな、と
思いました。双子の不思議というものなのでしょうか?私の従姉妹にも双子が
いて、高校時代から仲の良い友人も双子で、その双子が離れて住んでいても一人が
お腹が痛いと言っていると、もう一人から電話がかかってきてそっちも同じこと
(お腹が痛い)を言ったり、どちらも女性ですけど、性格は本当に正反対でしたが
心も体も分かり合っている、ということを目の当たりにしていたので、この兄弟の
ことが全く分からなくはないと思いました。ただ、一人の男性を共有するということは
なかったですし、そのような趣味も彼女たちにはないのでその辺は分かりませんが。
それにしても双子って一緒にいると本当に不思議だと思うことがありますよね。
私の友人たちは感情的なことも話さなくても大体分かると言っていました。例えば
「何か嫌なことがあって泣いてるんじゃないか」と思って電話すると泣いてた、とか、
お付き合いする相手も双子だったとか、相手のお姉さんが双子とか類ともじゃない
ですけど、そういう何かってあるんですかね?私はスピリチュアルは苦手ですが。
なので私の場合はこの映画では双子が一心同体という部分は分かるというのはちょっと違い
ますが少なからず分からなくもなかった部分もあるので、それよりも、赤い手術着や
オーダーメイドの変な形をした医療器具がひたすらショッキングで印象的でした。
ですが、私の憶測ですが、この映画においては双子を通して一人の人間の持つ
二面性というか潜在意識と顕在意識を表現していて、そのバランスが崩れた時に
人はどうなるのか?ということも描かれている映画なのかなと思いました。
因みに実話ベースというからびっくりしました。
現在はU-NEXTで配信されているみたいです。