ドラマと紅茶

ご覧頂きありがとうございます!映画と海外ドラマの簡単な感想と日々の出来事について少し 流行りには疎いです

映画「愛を読むひと」感想 青年と熟女のしょーもないラブストーリーだと思って観てたら勘違いはなはだしかった

 2008年にアメリカ、2009年に日本で公開され、アカデミー主演女優賞を受賞した

ケイト・ウィンスレット主演の映画です。

 

最初にこの映画のCMか何かを観た時にケイトさんが若い青年とイチャイチャしている

シーンだったのでまた熟女が若い子たぶらかして~のラブストーリーを美化して賞まで

取った映画なんでしょーと思って観るつもりもなかった映画だったけど、クリントさん

の「マディソン郡の橋」も単なる不倫映画とは言えなかったしなーと思って観てみたら

とんでもない思い違いをしておりました。ケイトさん、申し訳なかったです。

個人的にケイト・ウィンスレットさんは好きで、彼女とキャメロン・ディアスの映画

「the Holiday」はラブストーリーが苦手な私でも大好きな映画で観ると元気がでます。

 

この映画はアカデミー主演女優賞も取ったのでネタバレありで感想を書きます!

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簡単なあらすじを。 

第二次世界大戦後のドイツ。体調が悪かったマイケルはハンナという女性に助けられた

ことをきっかけに21歳も年上のハンナといつしか男女の関係に。ハンナはマイケルと

会うといつも本の朗読をしてもらうのだった。そんなある日、ハンナは働きが評価

され事務職への昇進が決まるのだが、その日を境にマイケルの前からも姿を消して

しまった。時が経ち、マイケルは大学の法学部に入学しゼミ研究のためにナチス

戦犯の裁判の傍聴に行くと、被告人席の中にハンナの姿が…

というお話。

 

初っ端から21歳も年下を弄ぶなんてハンナってば羨ましいぞ、と思ったりしたがw

それはこの話の始まりに過ぎなくて、観ている内にとんでもなく重い話でこれは

ラブストーリーではなくヒューマンドラマだと思いました。

私は途中までボーっと何も考えずに観ていたので、最初は21歳も年下の彼と結ばれる

はずもないので姿を消し、時代的にアウシュビッツで仕事をしていたせいで戦犯扱い

されているのかーと漠然と思っていただけだったんだけど、裁判を観ていると、同じ

被告人席にいる他の女性達5人皆が揃って収容所で起こった火災をハンナのせいにして

いる。火災の報告書は6人で書いたと主張するハンナだが5人はハンナが作成したという

ので戸惑うハンナ。筆跡鑑定のためにサインを求められるがハンナは拒否をし自分が

作成したと認め無期懲役になる。この裁判を傍聴している内に彼女が自分の前から

姿を消した理由や被告人席にいることも把握するマイケル。自分に本の朗読を

させていたのも、事務職につかなかったのも、筆跡鑑定のサインをしなかったのも

彼女が文盲だったからだった。そして自分が文盲であることをひた隠しにしたかった

ハンナ。そのことに気付いたマイケルは裁判長に伝えるか悩み、教授に相談するが

ハンナのことを考えるとその事実を伝えることは出来なかった。

もうね、言ってあげてよ!何で言わないの?一夏の思い出の人を助けてあげてよーと

思ったんだけど、ハンナが文盲を隠すのには理由があって、彼女の単なるプライドでは

なくて、彼女の出自がロマ族だったためだった。このロマ族ってユダヤ人よりも迫害

や差別の対象で現代でもまだそのような差別はあるそうで。。だからマイケルがその

事実を言えなかったのも分かったし、全部をハンナのせいにした他の5人に天罰が

下ればいいとも思ったけど、ロマ族だからって、文盲だからって、、、と考えると

現代に、日本に生まれてよかったと思ったのと辛いとか悲しいというよりもう重い。

 

その後、マイケルは結婚し、娘を授かるんだけど離婚する。そして刑務所にいるハンナ

に自分が本を朗読したカセットを送り、ハンナも独学で少しづつ文学を学び、マイケル

に手紙も書くようになる。そしてハンナの刑期が終わる頃、マイケルは身寄りのない

ハンナに面会し出所後の生活の準備をしてあると告げる。一週間後の出所の日、

ハンナを迎えに行ったマイケルは刑務官からハンナが自殺したと知らされ、マイケル

宛に残された遺書を読む。そして娘と一緒にハンナのお墓参りをするのだった。

 

ケイトさんの老けメイクもよかったんだけど、この自殺は私は責められない。

自殺は肯定出来ないけど(病気で安楽死等の問題は別)、私がハンナでもきっと同じ

ことをするんじゃないかと思った。そもそも自分ももうやり直せるほど若くはないし

その年で(多分70代くらい)刑務所以外で新たな生活に馴染めるとも思えない。

それにマイケルは家族ではない。自分の生活の準備をしてくれていて感謝はしても

そこに甘えられない。命をかけてまで文盲であることや自分の出自を隠すハンナの

プライドの高さからしても自分はマイケルに取ってお荷物でしかないと考えたのでは

ないかと思った。

逆を言えば、マイケルが面会に来なかったらハンナは自殺しなかったのではないかと

さえ思う。決して面会に行ったマイケルが悪いわけではない。ハンナのプライドの

高さも悪くはない。「マイケルに迷惑をかけたくない」というのがハンナなりの

愛だったのではないか、と私は思う。

 

ラブストーリーに分類されがちだけど、私はこれは一人の女性のヒューマンドラマ

だと思った。単なるラブストーリーとは言えない一人の人生の重さがずっしりとある。

戦争や人種(民族)差別、恋愛、家族愛と様々な問題が語られているように思えた。

ドラマのクリミナルマインドでもロマ族が犯罪を犯すエピソードがあったのを思い

出したのだけど、ロマ族というだけで差別され仕事も得られない、住む場所もない

教育も受けられられない、だけど自分たちの子孫を絶やすことも出来ないとなると

悪の連鎖を断ちきれない、抜け出せないというとても複雑な歴史的、社会的背景の

問題も絡んでいるだなと思うと、ドラマでは「恐ろしい人達だわー全員捕まれ!」

と思ったけど、そんな単純な話でもないんだなとこの映画を観て知りました。

この映画は観た後だけでなく、思い出すだけでもとても気分が重くなって、日本人で

よかったと思うのと同時に平和ボケしてるなーと思ったりするのであった。

 

因みに大人になったマイケルをレイフ・ファインズが演じていましたけど、この方

映画「レッド・ドラゴン」の犯人じゃん!ケイトさん殺されないで~とまたハンニバル

さんの存在に怯える私でした。

 

単なるラブストーリーだと思って敬遠していて(私だけ?)未見の方がいらしたら

よかったら観てみて下さい♪


www.youtube.com

 

それではまた~(^^)/