ドラマと紅茶

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映画「ブラインドネス」感想 見えない怖さと見える不幸、どちらがいいのだろうか?

2008年に公開されたパニック映画の「ブラインドネス」です。

ハリウッド映画ではありますが、今はやらかしてしまった伊勢谷友介さんや

木村佳乃さんが日本人キャストで出ていたので日本では割と話題にはなった

映画と思いますが、ジュリアン・ムーアさん主演の映画の感想です。

評価は普通といったところですが、私は嫌いではなかったです。

ネタバレありの感想になります。

 

 簡単なあらすじを。

ある日、日本人男性(伊勢谷友介)が突然目が見えなくなり、翌日眼科を訪れる。

原因が全く分からないのだが、診察した眼科医や、彼が眼科医を訪れた時に居合わせた

人たちも同じような症状に襲われその被害は拡大していき、政府もこれは深刻な

感染症だと判断し、感染したと思われる人々を隔離することに。だが眼科医の妻

ジュリアン・ムーア)だけは感染していないのだが、失明したかのように振舞い

夫と共に収容所に入るのであった。

しかし、収容所では衛生状態は悪く、食糧不足にも政府も非協力的なため、収容所の

中では法や秩序がなく、遂には食糧を奪い、金品がなくなると女性の体と交換と

いう独裁者が現れ様々な問題が起こるのだが、それに反発するジュリアン・ムーア

達だが…というお話です。

以下よりネタバレが入りますのでご注意を!

 

真っ先に思ったのが、独裁的になっている暴力的な男性が相手の場合、犠牲になるのは

必ずと言っていいほど女性で、男性はあまり役に立たない、と思ってしまいます。

男性の性的嗜好が女性の場合、比較的早い段階で生死と関わる大切な食糧との交換

条件で女性の体を差し出せと言われることが多いような気がします。それが男性の

本能だとも思いますし、そもそも独裁的で野蛮な人は自分のことしか考えないので

理性とかモラルなんて毛頭ないと思うので仕方がないのかな、とも思いますが。

その反面、こんな状況でも理性のある行動を取る紳士的な人もいるので、パニックに

陥った時こそ人間の本性が出るものなのかなと思いました。それでも食糧がないと

餓死してしまうので、女性たちも意を決して自分が犠牲になると申し出ます(木村佳乃

さんもその一人です)。もちろんそれに反対する夫(伊勢谷友介)もいますが、覚悟を

決めたら反対されてもブレない女性の強さを感じました。確かに私が夫の立場だったら

自分の子供のためとかならまだしも、良識のある仲間の食糧のために自分の妻の体を差

し出すことは頭では理解していても中々賛成は出来ないと思います。それでも誰かが

(数人が)犠牲にならなければならない状況で、女性からしたらどんな相手かも分から

ない相手に体を差し出すなんて夫が反対するよりもっと辛い決断をしているのですから

やっぱり女性って強いなと改めて思いました。それに比べてこの映画では男性は交渉

したり色々試みてはいましたが結局は独裁者の言うなりだったので本当に役に立たない

なーと男性には申し訳ないですけど思ってしまいました。

 

そのくせ、独裁者側の男性も失明はしていても女性の体を触って「こいつはババア」

だとか「こいつはまだ若い」だとかこの期に及んで触って品定めしてんじゃねーよ!

この野蛮人どもがっ!と怒りが沸きましたが、そういう輩には女性達からも最終的に

制裁が与えらえたのでよかったです。

 

そして、何より衝撃だったのが、ジュリアン・ムーアの眼科医でもある夫(マーク・

ラファロ)は自分の妻が失明をしていないことは知っています。故に失明している者の

気持ちは同じ症状のある者同士でないと分からないと失明している女性と関係を持って

しまいます。そして、その現場をジュリアン・ムーアも見てしまいます。ここは私も

キツいなーと思いました。夫は妻に見られていることに気付いていなかったのですが

相手の女性は気付いて謝っていましたけど、ジュリアン・ムーアはどちらも責めたり

していなかったので寛容な妻なのね、と思いましたけど、それ以前に突然原因不明の

失明に襲われて治るのかも分からない不安やストレスもあったのかもしれませんが

夫のためにと思って一緒に収容所に入ったのに、「これでは妻じゃなく介護されてる

ようなものだ」と言った挙句の浮気ですからね、それでも責めない妻の心境は私にも

分かりません。いや、寛容な妻ではなくて、数日で自分を取り巻く環境がまるで

変わってしまった世界で、もう自分の夫もまるで赤の他人のようにある種俯瞰して

いたのかもしれないとも思いました。ですがやはり夫婦である限り見えない方が

いいこともあると思った出来事でした。

 

最終的にこの収容所から出てここで仲間になった数人達がジュリアン・ムーア夫妻の

家に向かい、一夜明けたら徐々に目が見えるようになってきたところで終わります。

私としては、やはり収容所という狭い世界でもそこに政府や管理者といったリーダー

的な存在がいないと無秩序な世界の中でいち早く武器を持った人達の弱肉強食的な

社会が築かれてしまうんだなーと思ったのと、その中で見えるジュリアン・ムーア

どのような役割で動くのかが興味深かったのですが、この映画では失明した原因も

治る理由も明かされませんし、収容所での出来事もそこまで深掘りされなかったのが

あまり評価を得なかった一因なのかなと勝手に推測しましたけど、個人的には割と

好きです。(木村佳乃さんの演技もよくなかったという意見が多く見られました)

 

現在はU-NEXTさんで配信されています。

 

それではまた~(^^)/